RTX A4000で某VRSNSをぶん殴った感想あれこれ

3.5
レビュー

RTX A4000なるグラボを8月ごろに買った。
お値段14万2340円。アキバのツクモ本店で、バイトの休憩時間中にひとっ走りして魔法のカードの魔力で購入した

オ〇オス〇ックさんの方が安いのは知ってたけど、いつもパーツはツクモさんで買わせていただいてるので、今回もそれに合わせた感じだ。

ほとんどゲームなんてしない自分が、VRChatやモデリング、フォトグラメトリに使う為だけに購入した訳だ。

昨今の半導体不足と仮想通貨周りのあれこれで、転売騒ぎこそ無くなってはきたものの、ゲーム用のグラフィックカードは馬鹿高い値段で高止まりしてしまい、グラフィックカードを買ったり、置き換えるのには「時期が悪い」としか言いようがない感じである。去年ツクモの謎特価で買ってきたバルクなGTX 1080が元気に動いている中で、買い替えは先延ばしに出来そうな感じもした。

ちなみに、このGTX 1080をツクモに売りに出した所、23000円ぐらいになって帰ってきたので、5000円弱で一年間レンタルしてたような感じになった。月当たり400円弱である。

しかしながら、この二年間ぐらいハマってるVRChatというのは恐ろしいソフトウェアなもので、元々VRはVRAM (ビデオメモリ) をそこそこ消費する中で、あのソフトだけは与えれば与えただけ食う恐ろしい世界なのである。GPUコア自体はGP104で足りても、VRAMがネック過ぎてどうしようもない感じだったのだ。

現状、RTX 3060かRTX 3080/3080Ti/3090あたりがVRChatには向いている組み合わせ、として知られている。AMDはVRChatとの相性的に微妙で、個人的にはBakeryやReality Captureと相性が最悪なので論外だ。3060だと1080比でコア性能は20%の性能向上しか見込めないし、かといって3080以降を狙っていくと半導体不足が大きく影響してきて、15万円を越してくる。それでいて、10GBか12GBぐらいしかメモリが無く、電力も爆食いとなると、どうしようもない。

そんな中で、普段なら高すぎて論外、と言わんばかりのQuadro系グラボ、RTX A4000に人々が注目しだしたのである。RTX 3070TiのVRAMを倍にして、TDPをモバイル並みに落とす、といったボードで、コア性能は3060Ti~3070程度と言うほど強くないが、GA104系としては順当な性能は出ているし、何よりVRAMが馬鹿デカい事で自分にとっては良さそうに見えたのである。

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Quadro系ってゲーム向いてないんじゃないの?

かつてはドライバレベルの違い (DirectXやPhysXに対応しなかったり) があった事からゲーミングパフォーマンスが格段に落ちたり、そもそも起動しなかったそうで、その影響から今日でもQuadro系はDirectXがパフォーマンスが落ちてゲームに適してない!と言われがちだ。

現在はこの制約は撤廃されており、問題点は「最適化されない」上に「コスパが悪い」だけで動かせない事はない、といった感じに落ち着いているようだ。逆にGeForce系でも10bitカラー出力が可能になったりしているが、相変わらず出力画面数制限や、OpenGL周り、浮動小数点演算のパフォーマンス制限をかけているようなので、グラフィックコアの性能を100%引き出せているのはQuadro系ラインナップだけなのではないだろうか。更に言えばQuadro系ラインナップにはLHR (マイニング制限機能) すら実装されてない。

と言う事で主な違いは

  • パフォーマンスより安定性を重視した設計
    • TDPが低い (3070Tiは290W、A4000は140W)
    • GPUクロックが落ちてる (3070Tiは1575Mhz/1770Mhz、A4000は735Mhz/1560Mhz)
    • メモリスピードが落ちてる (3070TiはGDDR6X、A4000はGDDR6)
  • ビデオメモリが爆盛り (GA104系の中では)
  • GeForce系の各種制限が無い

個人的には、諸々の設計からRTX 3080 Mobileをメモリ倍増してデスクトップに刺しているような感じなのでは?と思ってしまうぐらいに設計が似ている。

熱問題について

ところで、このRTX A4000、熱がけっこう心配されがちなグラボである。

という事で、Afterburnerを使って弄って、パフォーマンスを色々と比較したいと思う。無理矢理に負荷をかけたいので、Furmark (1920×1080、4x MSAA) を叩いて「ワーストケースシナリオ」を試してみた。

初期値はこれ。

デフォルト設定

Furmarkのパフォーマンスは当初は100fps後半程度であったが。途中からサーマルスロットリングによる1割ほどのfps減が見られた。サーマルスロットリングはある程度不可避であることを考えると、概ね安定していたように思う。

GPU温度は89度前後、メモリは94度、ホットスポットも94度前後とだいぶアッチアチである。

GPU温度優先設定

こちらはAfterburnerでTemp Limitを85度/Power Limitを95%、Temp優先に縛った設定である。

通常のサーマルスロットリングに加え、Afterburnerのサーマルリミットに当たった辺りから更に2~3割ほどfpsが落ちてしまった。70fps前後にまで落ちているので、けっこうパフォーマンスの低下が激しい。

その割にはGPU温度は85度前後、メモリは92度、ホットスポットが90度前後と2~3割のパフォーマンス減を相殺できるほどではない。

と、ここで疑問に思ったのがファンの使い方が大分下手なように感じるところだ。ファンがどれだけ熱を持っても (90度あたりでも) 70%を超えないような設計がされているように感じる。

という訳で、Afterburnerのカスタムファン設定を有効化し、50度で50%、80度で80%、90度で100%のファン回転速度が出るように設定してみた。

デフォルト設定

(参考値) アイドル温度 : 61度程度

カスタムファン設定

(参考値) アイドル温度 : 54度程度

だいぶ安定して80度前後に落ち着くようになった。メモリやホットスポットも7度程度の低下がみられる。Furmarkも安定して、サーマルスロットリングの症状 (1割ほどのfps減) を出さずに、安定して100fps程度で動かし続けられている。

これで爆熱GPUとはオサラバだ、と思ったら大違いで、実はそこそこなデメリットを抱えているのだ。当然にファンが「より故障のリスクを抱えてしまう」という事もあるし、回転率100%だとジェットエンジンのような爆音を上げるので、VR睡眠に適してないようにも感じられる。

実際、80%の段階でだいぶファン音が聞こえるようになってきた事から、NVIDIAがファンの標準回転速度を上限70%にしているのは間違えてないのだろう。

こうなると、

  • 熱を減らして最高のパフォーマンスを引き出す (ファンと静音性を犠牲にしながら)
  • デフォルト設定で使い倒す (半田クラックのリスクを抱えながら)

の二択しかないような気がする。

では熱問題は解決できないのだろうか?と思われる人もいるだろう。YoutubeやTwitterを見るとファンを魔改造してる人もそこそこ見かけるが、個人的には気にしなくとも、元より3年メーカー保証が付いてくるから使えばいいじゃないか、と思ってしまう。

かえって魔改造する方が保証を失うので、個人的には使い倒すだけ使い倒し、最悪は保証を使って修理に出せばいいのでは?と思うのだ。それにこれは継続して負荷をかけるだけの最悪なシナリオであるFurmarkで試しており、実際にVRCで使う分には連続してコア性能を求められることはレアだ。実際、メーカーファン設定でVRCを動かしている最中にXSOverlayを見てもGPU温度が85度を超えている事はなかった。(石が当たりだった可能性もあるけど)

RTX 3080系でも冷却が弱めな安い板だと80-85度ぐらいは普通に出るっぽい話は聞くので、そもそもAmpereアーキテクチャ系が熱を持つような気はする。その意味ではPascal世代が懐かしく感じられる。

じゃあVRCで試していこう

配線は雑な類の人間なので、許してほしい。
M/BB450 Steel Legend
CPURyzen 5 3600
RAMDDR4 (2666mhz) 8GB×2/16GB×2
(計48GB)
GPURTX A4000
ストレージSamsung 860 EVO
(500GBモデル)
HMDVive Pro (レンダリング解像度100%)

一応、参考までに自己の環境をすべて掲載しておく。Resizable BARはオフ、その他設定は全く弄っていない (VRSS等は使ってない)

また、以降はAfterburnerを全く使わない、デフォルト設定に基づいて運用したことを予め記しておきたい。

まぁぶっちゃけるとGPUコア性能の向上を感じる事は少ない。性能が落ちるときには落ちる。XSOverlayを見る限りだと、GPU Timeは常に余裕だが、CPUがネックという感じだった。CPUボトルネックがもう出るとは想定していなかったし、Windows 11だとCPUパフォーマンスが更に悪化してる (Ryzenの問題) ので、もしかするともう少しコア性能が必要なのかもしれない。今更DDR4最終世代のZen3を買っても仕方ないので、次世代のRyzen (かAlder Lake?) に期待したいところだ。

しかしながら、従来抱えていたVRAM不足による不安定さは一気になくなったように感じる。イベント系ワールド、特にVketなんかが (VRAM爆食いの) 代表例だろう。

ちなみに、自分は毎週定例系のイベントに出るという事はない。基本はVketとかのようなデカいイベントを、少数と回るぐらいだ。なんせ人見知りというか一匹狼というか、あまり人がたくさんいる環境が得意ではない。

そんなこともあって主な利用目的は少人数で色々回って、寝るぐらいだ。その利用目的においては、平均的なGPU温度は80度前後、ホットスポットも85度とカスタム構成にしなくても、GPUとしては一般的な範疇に収まってる気がする。
(特にAmpere世代のハイエンドならこれぐらい出るらしい)

ちなみに、ShadowPlayを用いた録画でもパフォーマンスは低下していないし、熱も増えていなかったので安心して使えそうだ。それよりはHDDを4TBから拡張したり、NASをもっと大きくしないとまずそうだ。(ShadowPlayの映像、けっこう容量を使いがちなところがあるので)

zin3’s RealHomeにて。
一緒に寝てるのはワールド主のじんさん (@uesitananame55) とその友人、でんぱれーどさん (@d_e_n_p_a)

一方で、上記画像のような、そこそこ軽いワールドならば70度前後、ホットスポットでも75度と悪くはない感じに収まった。恐ろしいことに、この低負荷状態でのボード全体での消費電力量がたったの75Wという、かなり省電力な公正に仕上がっているという事だ。ちなみに、ログを見る感じだと一晩中こんな感じだったようで、うまく寝床を選べばリアルの部屋をPCで暑くせずに寝られるのかもしれない
今現在、自分は750Wの電源を使ってるが、うまくいけば550Wでもよかったのかも…

その他ツール

Reality Captureについてだが、こいつはあんまり性能が伸びなかった。どうやら、描画ポリゴン数の基準になるVRAMの上限が8GBらしく、それ以上はいくら乗せても△40M超える時点で描画できない、という仕様だったらしい。それよりはCPUのコア数とメモリ盛ってあげる方が大きく影響が出るようだ。

今現在使えたのは他にBlenderで、これはCUDA設定でGTX 1080比で体感2~3倍ほどのスピードでレンダリングしてくれてるような感じだ。(ベンチ用に1080で何かレンダリングするのを忘れた)
本来、CADに使われるはずのQuadro系グラボなので、OpenGLの方が強いはずだが… まぁパフォーマンスの伸び的な意味ではこれが一番大きかったように感じる。

RTX A4000、誰のためのグラボ?

という訳で、このグラボは誰のためのグラボか。

  • 向いてる人
    • VRChatをする廃人だけどお金がない人。(VRAMバカ食いするから)
      • VR睡眠勢 (TDP低いし、保証期間長いし)
      • ワールド作ったり、BlenderやUnityと殴り合ってる人 (VRAMデカいし)
    • Minecraft Java Editionをする人 (一応GL系なので)
    • 他のゲームはあまりしない人 (DX系だと3060Tiぐらいの性能しか出ないから)
    • クリエーター系全般 (プロシューマー含む。VRAM使う場面多いよね)
    • めっちゃ小型な自作をしたい人 (1スロット構成の3070相当って考えたら悪くない)
  • 向いていない人
    • 普通にVRChatを遊びたいだけの人 (在庫数多くてもっと安い3060でも幸せになれます)
      • 3~5時間程度で離脱できる人
      • Questから移行したい人
      • アバターをアップロードするだけの人
    • ほとんどの一般ゲーマー (同じお金出すにしても3080系を買った方が幸せになれる)

向いてる人が殆ど廃人じゃねぇかって思われそうだけど、はい、そうです。

これは廃人しか買わなくていいグラボだ。普通の人は半額程度のRTX 3060を狙うか、同じお金出すにしてもRTX 3080買った方が幸せになれてしまう。

ただ、偶然にもVRChatというゲームが特殊すぎて (というかアバター上げるのにUnityとSDKを叩かないといけないゲームって時点でクリエーター系ソフトの類だと思うんですが) 、このグラボと合致してしまうという話になる。ASCII.jpさんが「…VRChatが~と言う人は黙ってRTX 3090を選ぶべきだが」と言ってるように、基本的にはあのゲームに限って言えば3090を選んでも満足することはないのだ。

しかしながら、30万円近くするグラボを買うなんて普通に考えたら馬鹿馬鹿しい。まして学生の身分の自分には不可能としか言えないだろう。そこで、6~7万円程度のRTX 3060じゃ足りないけれど、30万円近くするRTX 3090はバカ高すぎるといった層に、15万円程度のRTX A4000は向いているのではと思った次第だ。

DirectX系ゲームでも必要最小限の性能 (3060Ti程度) はきちんと出ている事、1スロットであって、メーカー保証が長い事、また本来のプロ系ソフトは当然ながら、一部ゲームでけっこう幸せになれてしまう事から、星5中の3.5ぐらいだろうと考える。

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