ANAのでっかい亀 (FLYING HONU) に乗ってきた

レビュー

タイトルの通りである。3月29日、ANAの総二階建て機、A380 (FLYING HONU) のチャーターフライトに無事当たり、乗ってきた。それだけの話である。

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A380って?

唯一の総二階建て構造、数少ない四発エンジン、珍しく幅の広いキャビン、それを活用した独自性満載のサービスプロダクト… 経営上は活用の難しい機体ではあるが、飛行機が好きな人からすれば、A380は「ロマン」のある飛行機だ。「空飛ぶ豪華客船」なんて呼ばれたりもしている。

ANAは、このロマンの塊を、日本とハワイの間を結ぶ専用機材として導入した。JALの強かったハワイ観光のシェアを奪うべく、2019年夏に就航させたのだ。

導入の経緯こそ、スカイマーク経営破綻の尻拭いだとか噂されているが、機材に罪はないし、それを上回る愛をも感じるのが、このハワイ仕様のA380、FLYING HONUである。

かつて「全日空 (All Nippon Airways)」として知られていた頃から、ANAは特別塗装機で有名だった。「マリンジャンボ」や「ポケモンジェット」など、ニュースでも話題になった特別塗装機の多くは当時の大型機であるB747に行われた。今回のA380の亀の塗装 (ホヌと呼ぶ) もこれを受け継ぐように私には見えるのだ。ある意味では、Re:マリンジャンボのように。

これに加え、特典航空券需要に合わせたり、ビジネスクラスをカップル用に改良したり、ニュージーランド航空からエコノミークラスをベッド化する特許を借りたり、ハワイに自社初の海外ラウンジを設置したり…とJAL一強のハワイ路線に対する準備は万全だった。

その後、どうなったかはマスク一つが物語る。

まさか通る訳…

そんな浮いてしまったA380を活用しているのが、「FLYING HONU チャーターフライト」である。元々は法令遵守目的のテストフライトだったが、それをチャーターフライトと称して人を乗せながら達成しているのが、このフライトである。とはいえ、最近はそれを上回るペースで飛ばしている (GW開催の成田/セントレア/関空枠等) ので、もしかするとANAも思った以上に乗り気なのかもしれない。

初回申し込み (去年8月) が倍率150倍、2回目 (去年9月) も110倍と恐ろしい倍率ではあったが、4回目には35倍と落ち着きつつある。しかし、Twitterでは毎回申し込み、一度も当たってない人を多々見かけるし、まだまだ高い倍率だ。

自分も2月頭には、「通る訳ないや (笑)」と思いながら、申し込んだ。実際、2月末の本当選メール配信では届かず、落ちたんだろうなぁ… と思い、繰り上げ当選期限日の3月8日に、次の4月11日分の申し込みを行おうとした途端…

なんと通ってしまったのだ、一度目で。残念ながら窓側では無かったが、A380の醍醐味たる2階席を味わえるプレミアムエコノミーではあった。

この時点ではまだ行けるか行けないかも怪しかった。

実際、非常事態宣言が21日まで伸びた事で3月20日分は中止となってしまった。21日に開催予定だったFacebookのANAファングループ専用フライトも延期となったらしい。

けれど、ここでチャンスを逃す訳にはいかない。そう思った頃には、魔法のカードの番号を入力していた (笑)

久々の成田空港 第1ターミナル

僕にとって、今はなき成田空港の検問ゲートと第1ターミナル4階は懐かしい風景だ。タイとアメリカに住んでいた頃、「日本から出るのかぁ」と最後に思うのが成田空港だった。

国際線対応の空港として羽田のある今でも、出発時のラウンジや免税店は成田の方が充実していたりと、成田と言えば「海外」と僕のなかでは思っている。逆に到着時なんかは小さい羽田の方が (疲れないから) 好きだ。

だが、今回は普段のA~Cカウンターや保安検査場を使うことは無い。 今回のチャーターフライト用には珍しい「J」カウンターで手続きを行うらしい。

Jカウンターに行くと、クラス別に分かれてチェックインする形だった。搭乗券は汎用の手書きタイプのものだった。

チェックインが終わると、続いて土産袋が渡される。私は紺色の紙袋だった。青色が手前に置いてあったので、エコノミークラス用は中身が少ないのかもしれない。(エコバックとかが入ってない模様)

第1ターミナルの4階は国際線出発なので、一度1階まで降りて、再度登って国内線フロアに行く形になる。若干遠回りな順路だが、その間にも家族連れや、カップルを目的としたチェキ撮影会場があった。

NH2030便は唯一キャンセルにならなかったフライトらしい。成田発のANA国内線は全便欠航しているからだ。

バスゲートから

保安検査場を通り、階段を降りると懐かしい「飛行機風船」を配っていた。キーワードを言うともらえる (旅程表に記載がある) もので、当初は親子連れとかの子供のみかと思っていた。実は誰でも受け取れるもので、地上係員さんが「どうぞ、どうぞ」と、ヒントと共にくれたのである。

当初からFLYING HONUチャーターフライトは、バスゲートから搭乗するスタイルだ。というか、成田空港の構造上、国内線は殆どがバスゲートだ。(搭乗橋はPeach便が使ってた)

搭乗橋だと掴みにくいサイズ感を実感する事ができるし、A380対応の搭乗橋がかかってしまうと、機内の階段を一度も使う事なく終わってしまう (直接2階に入り込める) から、このスタイルを継続しているのは凄く嬉しい。

さらに、空港内のAirport Limousineバスに乗ったのは何年振り、というか十数年ぶりではなかろうか。これもレアな体験である。(羽田第二ターミナルができる前のANA便で乗った記憶はある)

そして、今回お世話になるA380は1号機 (JA381A)、航空ファンには同機をモチーフにしたキャラクターの名前から「ラニくん」と呼ばれている。

元々はANA HAWAii (A380導入に付随したキャンペーン) のチャットボットのキャラクターに過ぎなかったのが、いつの間にか機体の愛称にまでなっていたようだ。

全てがとにかくデカイ、がよくよく見てみると、翼の割には胴体が小さく、縦に長い (2階建てだから) のに気がつく。

(一部の航空ファンの間で「ロリ」などと言われるのが納得だ)

空飛ぶウミガメの背中に乗って

一応「手短に」撮るようにバスゲート出発前から案内されていたので、機内に入り込むと出てくるのが階段である。かつてはB747が沢山いたから「ちょっと優雅」に過ぎなかった機内の階段も、B777の普及と共に数を減らし、レア度がけっこう上がっている。これこそが、私が求めていたものだ。

誰も座っていなかったので、座席も撮影した。B777-300ER (旧機材) より座り心地は良かったし、収納スペースが増えてるのには助かりそうだ。

ついでに、非常口窓から撮れるかな、と思ったが、かなり小さい事、そして視認性を高める為の歪みがあることから、撮影は難しそうだった。

非常口席は誰も座ってなかったので、販売すらしてないように見えたが、申し込み時に「非常口席も可」というオプションをつけた上で、通路側の人に売れば良いのでは?なんて思ったりする。

そんな事を思いつつも、いくつかの点に気がついた。聞き慣れたAnother Skyではなく、ハワイアンな音楽になっていた。モニターもループでANA HAWAiiのビデオが表示されていたり (けっこう解像度も高めで色が豊か) と、Flying Honuシリーズが「普通のANA」とは大きく異なる特性を持つ機材である事を再認識した。

あぁ、忘れてはいけない。安全のビデオもホヌ版になっているんだった。

13時30分、若干遅れながらも無事に離陸した。

尾翼にカメラが付いているので、それを見ていると、四発のエンジンを写しながらゆっくりと動いていくのが見える。テクニカルな話になってしまうが、前方カメラはHDっぽく細かく見えるが、尾翼カメラは昔懐かしの画質、と言ったところだろうか。それでも尾翼カメラの方が圧巻である。

僕は普段からIFEでは映画をあまり見ずに、いつもフライトマップを表示している。が、このフライトマップは高度の変化まで、飛行経路上に表示されるようだ。

離陸して気流の激しいところから抜けてシートベルトサインが消灯したら、すぐに機内食が配られた。プレミアムエコノミーなのに陶磁器で出るのはハワイ線専用サービスらしい。

FLYING HONUの遊覧飛行でけっこう有名なのがオリジナルカクテルのモヒートだ。なのになぜ機内食にそれが写ってないのかというと、なんと割るための炭酸水がないと言うハプニングも発生したからだ。後に水割りを希望者には提供してたと知ったが、実際ほとんどの人はパイナップルジュースを頼んでいたように思える。ちなみに、パイナップルジュースもハワイ線限定のはず。残念ではあったが、こんなハプニングって起きるんやなぁと驚いた方が大きかった。

コップはラニくんと同じ青色が当たった。色はランダムである。

その後、若干時間があったのでトイレに行くついでに、後部階段も撮影してみた。半円状の階段ではない唯一のA380シリーズらしい。(Aft Galley Stair Moduleと呼ばれるA380の改良版で、 ANAのみが採用)

最後尾ギャレーにドアがないのが驚きだ。B767シリーズの非常口っぽく見える。

ちなみに、ANAセールスによる抽選会はビジネスから1人、エコノミーから7人という構成だった。プレエコ、誰もおらんのかい(笑)

着陸まで30分を切った頃、機内アナウンスがあった。楽しい時間にも、いつか終わりは来る。

その際に (多分) チーフパーサーの方が「オレ・ウア、オレ・アヌエヌエ (英: No Rain, No Rainbow、日: 雨が降らねば虹はかからない) 」というハワイのことわざをひいて、今のコロナ禍を耐え忍び、ホヌでハワイにお連れできる日が来る事を願いたい、とアナウンスしていた。それと共に機内のライトを虹色に切り替えた。ハワイ到着時の演出と同じものだ。

後に知った事だが、虹の色が6色なのはハワイの伝説に基づいたものとの事。アメリカ本土で6色としている経緯とはちょっと理由が違うところが、ハワイの独自性を感じさせる。

そして16時43分、成田空港に着陸した。

飛行時間は3時間13分。鹿児島から新潟に向かって飛んで戻る、11月と同じルートだ。

タラップの問題で降機が始まるのも遅れたが、この際はそっちの方が好ましい。

降機の準備が行われる中、安全ビデオが通常の歌舞伎ではない以上、歌舞伎のメイキングを降機ビデオにする訳にも行かないだろう…と思ったら、これもきちんとホヌ版だった。インスタ風のメイキング画像のスライドショーだ。かわいい。

ちなみに、降機ビデオの最後に「本物のウミガメに触らないで! (州法と連邦法違反) 」ときちんと啓発していた。今回の目的地、東京・成田ではウミガメは見つかりそうにないが、次乗る時はぜひ神聖なウミガメを見れるハワイ・ホノルルに、この機材で行ってみたいな、と思いつつ、3時間乗った「空飛ぶウミガメ」から降りる。

乗る時よりは、降りた後が自由気ままに撮影していた感じがある。実際、自分もパノラマで全体をゆっくり収め、満足してから到着ロビー行きのバスに乗った。

今回は2号機 (カイくん) と横並びではなかったものの、出発ロビーから見えやすいサテライト上のゲートに接続していたのを確認した。

去年の夏に渡米した時の記憶の限りだと、そのサテライトは帰国者/入国者のコロナ検査場と化していた (検査結果を待機するのは出発待合室なのでゲートとしては使えない) はずなので、乗せるという目的よりは、出発ロビーでも撮影できるように置いてあったのかもしれない。

3月29日のFLYING HONU チャーターフライトは、僕にとっては念願のA380に、それも2階席に乗れたわけで、とても貴重かつ素敵な体験だった。と同時に、FLYING HONUより愛してしまった訳で、この困難な時期を乗り越え、一度はこの機材で本来のパフォーマンスを出せる目的地、ホノルル国際空港に飛んでみたいな、と思ったのだった。(次は魔法のカードに頼らずに、ね笑)

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