初音ミクの3DCGライブの手法

基本的には本ページはあくまで私自身のメモ帳的な側面もあるので、全ての手法を取り扱ったわけではない。したがって、抜けている手法もあると考えられる。その点は予めご了承いただきたい。(現状だとVer 0.8ぐらいのイメージ)

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「ホログラム」との誤解

よく、初音ミクのコンサートで空間にキャラクターが存在することを「ホログラム」や「ホログラフィック」と表現する記事や人がいる。しかしながら、これらは真の意味でのホログラムではない事に留意する必要がある。(少なくとも現代の技術においては、ミクさんを動かすほどのことは無理である)

従って、本サイトにおいては「透過スクリーン方式」や「ペッパーゴースト方式」として書かせていただいている。

リアプロジェクション系

半透明なフィルム (をアクリル板に貼り付けたり、張ったり) や、半透明な専用ボードを設置し、それに対して背面からプロジェクターで像を映す方法である。透過スクリーン方式と呼ばれたりもする。初音ミクにおいては、公式有志問わず、一番使われている方式である。

VIZOO製透過スクリーン

ミクFES’09 (夏) 、ミクの日感謝祭 (2010年) や、レディーガガの前座公演において使われた透過スクリーン。よく後述のDILADスクリーンと誤解されているが、実際は別の会社のものである。

元々ミクFESにおいてもDILADスクリーンを用いる予定だったが、本番に対して余裕をもって借りる事が出来なかった為に、映像機器レンタル会社のマグナックスから借り受けたと後に黒田 貴泰氏 (ミクの日感謝祭のプロデューサー) が語っている。なお、最終的にこのVIZOO製透過スクリーンは買い受ける事になり、ミクの日感謝祭にも使われたようだ。

ちなみにこのスクリーンは2012年に黒田氏の「実験」で破壊され、存在しないらしい。

「黒箱」

ミクパ2012より

ミクパ系で使われていた技法。ミクパ2011 (東京) で初めて使われた手法で、一般的に「黒箱」と呼ばれる。黒箱、とは言われるものの、実際には透過スクリーンであり、単に色が黒く、背後のプロジェクターとスクリーンの間の空間を囲ったものである。なお透過スクリーンのメーカーは不明である。

ミクパ2011のオープニングより。黒箱の中から、発光しているのが見える。
(クリックするとGIF画像として動きます。)

元々はミクパ2011 (東京) のメインスクリーンとして採用されていたが、存在感が損なわれるなど、あまりの不評によって、札幌公演においてはサブの上部スクリーンとして使われたり、スポットライト的な演出も加えられるようになった。これらの改善によって評判が改善したことから、以降ミクパ2013 (関西) まで使われた手法である。

DILADスクリーン

MIKUNOPOLIS以降、公式系ライブにおいて採用されている透過スクリーン。DILADスクリーン自体は「株式会社きもと」が製造しているもので、最近のコンサートでも同じものが使われ続けている。板状になっている事から、DILADボードと呼ばれたりもする。

一概にDILADスクリーンと言っても種類があり、その中でも透明度が高い「DILADスクリーン T40Si」に類するものではないかと有志は考察している。ちなみに、現在は終売となっている。
(特注品の可能性もあるが、開発費などを鑑みれば流用説の方が有力だ)

MIKUNOPOLISにおいては、初導入された際には厚みや色味の違いなどが問題になったが、その後も継続して採用し続けている透過スクリーンである。ちなみにマジカルミライ2013においても透明度が向上した事で色合わせに苦労したという関係者のツイートがある事から、もしかするとマジカルミライ用の12mスクリーンは少し違うものが採用されているのかもしれない。

一番知られているブランド名ゆえに、先述のVIZOO製透過スクリーンをはじめとする他社の透過スクリーンですら、DILADスクリーンと呼ばれていたりする。
ただ、「DILADスクリーン」自体が特定商品名であることから、このような使われ方は好まれず、「リアプロジェクションスクリーン」ないしは「透過スクリーン」と表現する方が好まれるだろう。

R3フィルム

冨田勲「イーハトーヴ交響曲」以降、公式系ライブにおいて採用されている透過スクリーン。大規模ライブにおいてはMIKU EXPO 2016 Japan Tourから採用されたものとして知られている。

なお、マジカルミライ2015でも透過スクリーンを一新したとメイキング映像で言われているが、明言されていないので不明である。(同じ乳白色であることからも同一な気もするが… もしかするとR3フィルムのテスト運用?選定作業中のもの?)

DILADスクリーンに比べて視野角が広がった代わりに、乳白色で透明度が若干低下したものになる。斜め45度を超えた視野角を確保でき、プロジェクターが見えにくくなったという利点もある一方で、立体感が損なわれる難点も抱えてしまうので、決してDILADを超える万能スクリーンではない。メーカーは不明で、クリプトンが直接発注しているようだ。

ただ、先述の通り、今なお「DILADスクリーン」と呼ばれがちである事から、あまり一般に認知されていない模様。また、マジカルミライ2020でもスクリーンを刷新してる事から、当初のR3フィルムとは異なる「第二世代R3スクリーン」なるものが存在するかもしれない。

アミッドスクリーン

ニコニコ技術部が生み出した透過スクリーン。開発・発明者はアミッドP。

2011年下半期に発表された。網戸に背面から投影すると、像ができることが発見された事で作られた手法である。コスト・入手面においてVIZOO/DILADスクリーンを凌駕することから、有志に愛用される方式である。

ポリッドスクリーン

ニコニコ技術部が生み出した透過スクリーン。開発・発明者はあおめさん。

2013年に発表された手法である。一部の農業用ポリエチレン系ビニールシートを張って、背面からプロジェクターで投影すると像が出来る事が発見され、コスト・入手面において、アミッドスクリーンと同じく負担が軽いことから、有志ライブで多く使われる方法だ。

また、網戸文化のない海外でも入手できることから、海外での有志ライブなど、先述のアミッドスクリーンより普及したといえる手段である。

ペッパーゴースト系

床やステージ裏などの見えない場所に存在するものを、反射する透明なスクリーン越しに見る手法。要は透明な鏡を通して見える像を観測する手法である。(リアプロジェクション方式は透過スクリーンに直接、プロジェクターの映し出す像を観測している)

東京ディズニーランドのホーンテッドマンションなどで使われてる方法で、1862年から存在する「古典的」な技法である。この技法を応用したものが、初音ミクのコンサートにおいても一部で使われている。

Musion Eyeliner

元々のペッパーゴースト手法は「実物」を反射させている中で、Eyelinerではプロジェクターで地面に映した像を反射させて行っている。

初音ミクのコンサートにおいては「HATSUNE Appearance」系において採用された手法である。

ドクター・コッペリウス型 (?)

ペッパーゴースト系ではあるが、Eyeliner技術を使ったものではないことから、別途分類している。

その他

ごく僅かながら、リアプロジェクション・ペッパーゴーストに含まれないタイプの手法が用いられている事があるので、それらに関しても記載しておく。

LEDスクリーン

2022年のニコニコ超歌舞伎で初めて観測された手法。従来は透過スクリーン (メーカー不明) を採用していたが、本公演からはLEDスクリーンに変更された。

現代版「黒箱」

マジカルミライ2021で初めて観測された手法。命名されていないが、先述の「黒箱」と同じく、上部サブスクリーンとしての使われ方が多いため、ここでは仮にも現代版「黒箱」と命名しておく。

マジカルミライ2021より

この手法に関しては公式発表が無いため、推測になってしまうが、上部に使っているLEDスクリーンを背景から照らす事によってキャラクターを投影していると考えられる。その事から、一瞬ながらも明るいシーンにおいてスクリーンの境界が見えてしまうシーンがいくつかある。

マジカルミライ2021より。LEDスクリーンのエリアが見えているシーン。

キャラクター周辺の絵 (上記画像における城など) は会場最後部のプロジェクターから表面に張ってある膜に投影していると考えられる。なお、この手法においては前面に膜を張る関係から、15秒ほどの切り替え時間を要する。

ミスト

夏の終わりの39祭りで行われた手法。リアプロジェクション方式の亜種に含まれるかもしれない。

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