「本造り」を、ふたたび。

新型コロナウイルス。
この世の様々な事を変えた、現時点で今世紀最大の「出来事」であることは誰しもが肯定すると思う。

様々な事が規制され、その間に様々な事が「時世を鑑みて廃止」されたり、「継承先が無く廃れ」たり、「運営元が潰れ」たりして二度と見る事が出来なくなった事もたくさんあった。そうじゃなくても、大幅に規模が縮小されたり、規制の下で何もかも感染対策を理由に予定調和な進行になったり… 挙げればキリが無いだろう。

僕は「Bookraft (ブックラフト) 」という、Minecraft関係の同人誌を作るサークルの創設メンバーだ。2017年末から、同人誌をコミックマーケットに送り届けていた。その当時、僕はアメリカに居たから「売り子」は他メンバーに任せっきりだったが、創作の文化に入り浸っていた。

ニコニコ超会議2018併催イベントの「超まいくらひろば」に出した時の写真

もちろん、2020年もコミケ98 (C98) に申し込んでいたし、僕がアメリカから本帰国したこともあって、久々に創設メンバー勢ぞろいの記念すべき回になる…はずだった。結果はご存じのことだろう。

コミックマーケットの歴史上、唯一「使われず」かつ返却の必要もなかったサークルチケットとなった。

C98は、コミックマーケット史上初の欠番となった。

コミックマーケットの中止だけならば通販すればいいじゃないか、と思われそうだ。実際、Bookraftはコロナ以前から電子上でほとんど活動していた。インタビューもオンラインだったし、製本・デザインもオンラインでメンバーと共有しながら…というスタイルだった。別に作り方が変わってしまう訳ではないから、本を作る事には一切の支障はなかった。

Block Pioneer First Edition/Nico ver掲載のインタビュー記事。
当初からDiscord対談形式を採用していた。

ただ、実際に出せないという事で削がれるモチベーションは大きいものだった。いくらアメリカに居て、僕が頒布の現場に居ないとしても、これを手渡しで人に渡す信頼できるメンバーがいる、そしてそれを会場にまで来て買おう!と思ってくれる人がいる、という事を僕は考えて作っていたからだ。これを情勢上致し方ないとは言え、指ポチで買える通販で、僕らは梱包して送るだけ、ならばぶっちゃけブログでも良い訳だ。

そんな感じでモチベーションを削がれている中で、別の個人創作 (3Dモデリングと初音ミク) をきっかけとした「推しとの向き合い方」の悩みにぶつかった。Bookraftの活動とも重なる部分があったので、ついに創作の手を一切止めてしまった。

Bookraftのメンバーはそんな僕の相談に乗ってくれたり、ふざけあったりと親交があり続けたが、創作の観点からは、創作総責任者たる僕が動けなくなってしまっていたことから、停滞してしまった。その間、大学のサークルのお手伝いを通じて創作を委託する立場として動いた事こそあったが、自分個人が手を動かす創作は、MMDモデルも、Bookraftも、一切止まってしまっていた。


何も作りだす事が出来なくなって、二年が経った。

「推しとの向き合い方」は別ジャンルにハマって解決の方向にあるし、創作の舞台のコミックマーケットもC99Aのように限定的ながらも動き始めていた。創作活動の下地は再び出来上がってきていた。

一方で、マイクラの情勢も様変わりし、様々なサーバーが生まれた。ツテがあるサーバーは閉鎖し、Java版もついにMicrosoft IDが要求されたりしたようだが、その「冬眠期間」に起きた「進化」に追いつけなくなっていた。

僕は「寝過ぎて」起き上がるタイミングを完全に見失っていたのだった。


春に入ろうとする頃、Twitterアカウントに、知り合いの「作業風景を写した写真」が流れてきた。僕が初音ミクにハマってから早い段階で繋がった方なので、6年来のフォロー・フォロワーの関係になるだろう。すーみんさんの事だ。

すーみんさんは長らく初音ミクの着ぐるみ・コスプレと「自分自身を使った創作活動」をし続けて、時にはそれを同人誌にまとめていた。僕の向いている方向 (初音ミクの3Dモデル) と違う種類の創作だからこそ、注目していた人だ。

ただ、僕が創作に手を出せなくなった頃と時をほぼ同じくして、すーみんさんも様々な事情から創作活動を辞めようとしていた背景を持っている。そんな背景を知っているから、その作業風景は「復活作」のようなものに感じたし、本人もそれを認めていた。

深夜、缶チューハイを飲みながら、趣味のコーディングに行き詰まってTwitterを眺めていたところ、すーみんさんがある文章の校正者を募集していた。何気なく起きてて暇だったのでふぁぼって見たところ、文章の校正をする事になった。

文章の内容をどうこう、ではなく、あくまで誤字脱字と可読性に関する校正だったが、もちろん内容も目にすることになる。内容としては如何にして、コスプレを再び始めるに至ったか、という事であった。

この文章の校正を通じて、すーみんさんが創作のカルチャーに戻ってきてくれた事に感謝したが、一番は「棄てた」ものを、再び取り戻して還元しようとしている事に勇気を貰ったのである。一度辞めた事を再び動かすのには、先も述べたように労力がかかる。ましてそれが挫折の結果として発生したものであれば、尚のことだ。すーみんさんは一番避けていたものに再び挑み、それを本の形でまとめる事にしたのだった。勇気という形の「モーニングコール」を僕は受けたのだった。

同じ「クリエイター」として、何か感銘を受けたならば、それを示す方法は一つであることは知っていた。僕の手札には「(初音ミクの) モデリング」と「(マインクラフトの) 本造り」があったが、再び動かすのが困難な道こそが、この場合の正しい解だろう。

そうして、「本造り」の道に再び飛び込む事に決めたのだ。


4月中旬、Bookraftのメンバーに再び活動したい、と提案した。
皆は僕の「寝坊」を許し、再び動かすことに同意してくれた。早速、どうすれば良いかとか、こういう事がしたい、という意見が飛び交った。久々に「熱心」になれた。

そして、すーみんさんが再び作品を頒布する日に、一つ宣言したい。

我々Bookraftは、年末に再び有明の地に戻るつもりだ。

もちろん抽選次第だが、通ることを祈るばかりである。

そう、コミックマーケット101である。
Bookraft創設から5年目を記念する今年、我々は再び建築と本造りで、有明に戻るのだ。


そんなBookraftの復活を記念して、さっそく第一弾の企画をお見せしようと思う。

元々、C98で出そうと思っていた同人誌「Block Pioneer ~Pancake Ver~」である。

パンケーキは「令和おじさん」の好物が由来である。

C98の企画は、ある程度進んでいた。表紙デザインも、一部の原稿も作りかけの状態で放置されていたが、幸いにもデータは残っていたし、まだ読み込めた。今できる事を何かせねば、と思った僕は、早速ここから手をつける事にした。

そんな事もあって、この「復刻版」のようなモノから、まずは見せたいと思う。この本に関しての詳細は、のちのちBookraft公式Twitterで紹介するつもりだ。


今回、復活するきっかけを与えてくれたすーみんさん、そして「寝坊」を受け入れてくれたメンバー各位に深く感謝したい。これを示す方法はモノだけである事は認識しているから、この冬に実際にお見せできる形にするための努力で示したい。

そして、Bookraftを長らく追いかけていてくれた人々には、一度は挫折しかけた僕らの「腐れ縁」な創作の旅を見ていてくれると嬉しい。一巡りして、また同じ場所に戻り着いた僕らから、最大級の創作でお迎えするつもりだ。

追伸. すーみんさんの最新作『マジまふクロシック』はニコニコ超会議併催の『THE VOC@LOiD 超 M@STER48』で頒布されている。

BOOTHを通した事後通販/デジタル頒布も行われているので、興味を持った方は手に取ってもらえると嬉しい。

Sewing Future(ソーイング・フューチャー)ブース支店 - BOOTH
「愛と感謝」を現実世界に生み出したい、ミク廃が運営するサークル「Sewing Future(ソーイングフューチャー)」BOOTH支店です。【製本版】マジまふクロシック~Magical Mirai 2019~(¥ 1,300), 【DL版】マジまふクロシック~Magical Mirai 2019~(¥ 500), 【DL...

ちなみに私が校正し、感銘を受けた文章は「布の惑星」の部分である。

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